「きものの手本」浦沢月子著

昭和44年に出版された浦沢月子さんの「きものの手本」。浦沢月子さんといえば、文壇、歌舞伎界など各界の錚々たる方々を顧客に持つ銀座の有名な老舗呉服店「紬屋吉平」の女将でした。かつて「家庭画報」で高橋恵子さんモデルで着物や帯を紹介していて、高い美意識に、着物好きの女性たちの憧れの存在で、伝説の店と言われていたそうです。今でも憧れって言う人がいるくらいですから、ね。


って、浦沢さんがご活躍されたのは20年も前のことなので、これは古本。残念ながら、「紬屋吉平」は何年か前に創業180年の歴史を閉じ、今はありません。

 

この本を開くと、今見ても素敵なコーディネートでわくわくします。

 

そして、この本に書かれている浦沢さんの言葉にハッとするものがありました。

 

 

     同じ形の品物を風呂敷に包んでも、風呂敷によって、おのずから中身まで

    違ったものに見えるものです。木綿の風呂敷に包んだとします。その品ものは、

    いかにも生活に必要なものが入っている、忙しそうな感じがします。もし、縮緬です

    と、どなたかにお届けする、たいせつな品だというように見えたりします。

    

     きものは、しょせん自分のからだを包むものです。風呂敷と同じで、きものによって、

    自分のからだも変わって見えるものだ、ということが、きものを着るときの、大切な

    心がまえと言っていいでしょう。

    

     からだが、そのきものに溶け込んでいったときこそ、自分のきものを着こなしたと

    いえるのだと思います。そんな心がまえで、いろんなきものを楽しんでいただきます

    ように。

                                   浦沢月子

 

 

なんだか、着物を着るには覚悟が必要と言われているようで、ちょっと引いてしまわれる方もいるかもしれません。が、だからと言って、この本には高級な絹ものしか載せてないのかというと、そうではなく、木綿やウールの着物もいろいろ載っています。それは当時、まだ普段着に木綿やウールを着ていて木綿やウールを載せない選択肢はなかったのだと思います。

 

「着物に溶け込んでいったときこそ、自分のきものを着こなしたといえるのだと思います」

そうなるには、やっぱりたくさん着ないとです。そして、いろんな素材のものを着る中で、絹の着心地の良さ、木綿の気軽さ、ウールの温かさ…を知っていくので、少し時間はかかるものだと思います。でも、着物が身体に寄り添ってくるという感覚は私のもわかります。これぞ着物の気持ちよさですから。

 

何かの本でかつての浦沢さんの写真を見たことがあります。

後姿なのに、凛としててかっこいい。私もいつか、浦沢さんのように後ろ姿だけでもかっこいい女性になりたいものだと思います。

 

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